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電気設備設計の実務入門|照明・配線・受変電の基礎知識を解説

  • 執筆者の写真: design H
    design H
  • 24 時間前
  • 読了時間: 5分

更新日:4 時間前


電気設備設計とは?初心者にもわかる仕事内容と図面の基本
電気設備設計は、建物の安全性・快適性・利便性を支える非常に重要な仕事です。本記事では、特に初心者がつまずきやすい「照明計画」「配線・スイッチ設計」「受変電設備」「負荷計算・分電盤設計」「建物別の注意点」について、具体的なポイントを交えて丁寧に解説します。
 
 



照明計画の考え方と照度の基準


照明計画は、空間の用途に応じて「どのくらいの明るさが必要か」「どんな照明器具を使うか」を決める重要なプロセスです。


照度(明るさ)の基準を理解しよう

照明の明るさは「lx(ルクス)」で表され、用途ごとに推奨照度がJISで定まっています。 例:

  • 住宅リビング → 150~300 lx

  • 事務所 → 500 lx

  • 病院の手術室 → 1,000 lx 以上



配置の考え方と器具の種類

  • 直下照明(スポット的)と間接照明(拡散的)を使い分け

  • 反射率の高い壁・天井を使えば照明器具数を抑えられる

  • LED器具は長寿命・省エネ・熱が出にくいという利点がある


照明器具選定には、カタログに記載された配光曲線や照度分布図をチェックし、適切な配置と光の広がりを計画する必要があります。





コンセント・スイッチの配置と回路分け


住宅でもオフィスでも「どこに」「いくつ」コンセントを設けるかは快適性に直結します。


コンセント配置の基本ルール

  • 一般家庭なら6畳に2~3か所以上(壁1面ごとが目安)

  • 水回り・屋外・エアコン専用など用途別に分けて考える

  • OAフロアや天井配線を活用することで、レイアウト変更に柔軟対応可能



スイッチ計画のポイント

  • 片切り/3路/4路スイッチを使い分けて、階段や長廊下などでもON/OFFできる設計

  • 明るさセンサーや人感センサー連動も省エネ設計に有効

  • 図面上ではスイッチと対応照明を「S」記号+実線」で結ぶのが一般的



回路の分け方と注意点

  • 同一回路に負荷集中しないよう用途ごとに回路分離(照明回路、コンセント回路など)

  • ブレーカー1つあたりの許容電流(例:15A、20A)を超えないよう計算

  • エアコン・IHクッキングヒーター・エコキュートなどは専用回路が必要





受変電設備とは?高圧受電と低圧配電の基礎


電気設備設計の中でも、建物の「心臓部」ともいえるのが受変電設備です。


高圧受電とは

建物規模が大きい場合、電力会社から6.6kVなどの高圧電力を受け取って、構内で100V/200Vに変圧して使用します(高圧受電)。

その際使われるのがキュービクル式受変電設備(高圧機器をコンパクトに収めた箱)です。 メリットは基本料金が安くなることですが、初期費用や保安管理義務が増すため、工場・病院・学校・商業施設などが対象です。



低圧受電との違い

一般家庭や小規模テナントは、電力会社から単相3線式(100/200V)または三相3線式(200V)の低圧で受電します。

低圧受電はコストが抑えられ、保安管理者も不要です。ただし契約電力は原則50kW未満に制限されます。





負荷計算と分電盤設計の流れ

電気設備の心臓部=分電盤の設計は、正確な負荷計算から始まります。

負荷計算のステップ

  1. 機器一覧を作成(照明器具・空調機・厨房機器など)

  2. 各機器の定格容量(W/kW)を記載

  3. 同時使用率(例:照明90%、動力60%)を掛ける

  4. 合計して「必要受電容量(kVA)」を算出

この計算によって、受変電設備の容量や、主幹ブレーカーのサイズ、幹線の太さを決めていきます。



分電盤の設計ポイント

  • 主幹ブレーカーの定格は、総負荷容量に余裕を見て設定

  • 分岐回路(15A、20Aなど)ごとに照明・コンセントをグループ分け

  • ブレーカーには漏電遮断器(ELB)を適切に選定

  • 将来の増設を見越して予備回路を残す設計も有効


▶ 設計時には選択協調(保護機器同士の連携)にも配慮し、上位側のブレーカーが過敏に動作しないよう調整するのが理想です。





建物用途別の設計ポイント(住宅・オフィス・商業施設など)

電気設備設計は、建物の用途によって設計の優先順位や難易度が変わります。


住宅の場合(戸建て・集合住宅)

  • 設計のポイントは快適性・安全性・将来性

  • 専用回路(エアコン、IH、エコキュート)、太陽光発電・EVコンセント等への対応も増加

  • 美観・バリアフリーの観点で配線ルートも工夫が必要



オフィスビルの場合

  • 重要なのはレイアウト変更への対応力(可変性)

  • 床下配線・OAフロア・フリーアクセスの採用が多い

  • 高照度・照明制御・通信設備・セキュリティシステムとの統合も重要



商業施設・店舗の場合

  • 見た目の美しさと電力供給の安定性がポイント

  • サイン照明や空調機器の分電設計、照度・演色性の設計に細かい対応が求められる

  • テナント入替に対応する個別回路管理の導入も検討対象





まとめ|実務の基本を押さえて信頼される設計者へ

電気設備設計は、建物の使いやすさや安全性を左右する「縁の下の力持ち」です。本記事で紹介した照明・配線・受変電・負荷計算・建物用途別の考え方は、まさにその基礎中の基礎。初心者の方は、まずは図面の読み方・照度の基準・回路分けの考え方から習得し、徐々に高圧受電や負荷計算、盤設計へとステップアップしていくのがおすすめです。


最初は難しく感じても、ひとつずつ理解すれば必ず「使える技術」になります。経験と知識を積み重ねて、現場で信頼される設計者を目指していきましょう。



 

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