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建築設備設計における省エネ対策と最新の法改正ポイント

  • 執筆者の写真: design H
    design H
  • 4月13日
  • 読了時間: 4分

更新日:3 日前


建築設備設計における省エネ対策と最新の法改正ポイント
建築設備設計は、快適性や安全性だけでなく「省エネ性能」も重視される時代になりました。近年では、エネルギーコストの削減や脱炭素社会の実現に向けて、設備設計者にも高い省エネ意識が求められています。さらに、2025年には「建築物省エネ法」が改正され、全ての新築建築物での基準適合が義務化されるなど、法的対応も急務です。本記事では、初心者にもわかりやすく、省エネ設計の考え方からZEB/ZEHの設計手法、使えるシミュレーションツールまでを最新情報とともに解説します。
 
 



建築設備設計に求められる省エネの視点

建築設備の省エネ対策は、単に「節電する」ことではありません。重要なのは、建物全体のエネルギー消費を計画段階から最適化することです。空調や照明、給湯設備の選定・配置はもちろん、使用する時間帯や人の動きを予測した自動制御(センサーやタイマー)の設計も含まれます。たとえば、日射の多い窓際に断熱性能の高いカーテンを設けるだけでも、冷房負荷は大きく減らせます。


設計者には「エネルギー収支を読み取る力」が求められ、省エネ視点がない設計は今後ますます通用しなくなります。

建築設備設計に求められる省エネの視点




建築物省エネ法の最新動向(2025年改正)

2025年4月から、すべての新築建築物に省エネ基準の適合が義務化されます。これまで適合義務の対象は中規模以上の非住宅建築物(300㎡超)に限られていましたが、今後は小規模な住宅や店舗も含まれます。また、設計内容の説明責任や評価制度の見直しも盛り込まれており、設計者の負担は増加する見込みです。


これに対応するためには、外皮性能(断熱・日射遮蔽)と一次エネルギー消費量の計算が必須となります。特に住宅設計では、建築士が法改正内容を正しく理解していないと、確認申請が通らないケースも起こり得ます。

建築物省エネ法の最新動向(2025年改正)




ZEB・ZEHの設計ポイント

ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)やZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)は、年間のエネルギー消費量を実質ゼロに近づける建物を指します。


設計のポイントは、以下の3ステップです。

  1. 省エネ:

    断熱性の向上や自然換気の活用


  2. 高効率設備の導入

    LED照明、高性能空調、インバータポンプなど


  3. 再エネ導入

    太陽光発電、蓄電池の活用



たとえば、病院などのZEB化では、非稼働時間の設備制御やエネルギーの“見える化”による運用改善がカギとなります。ZEB Ready認証を取得することで補助金の対象にもなります。


ZEB・ZEHの設計ポイント






省エネ設計に役立つシミュレーションと計算ツール

省エネ設計において、数値による根拠は不可欠です。そのため、各種シミュレーションやエネルギー計算ツールの活用が強く推奨されています。

主なツールは以下の通りです

  1. Webプログラム(省エネ法対応・国交省提供)

    外皮計算と一次エネルギー計算が可能


  2. EnergyPlus(英語・無料)

    建築物全体のエネルギー挙動を詳細に解析


  3. BEE(Building Energy Efficiency)ツール

    BIMとの連携が可能な計算支援ソフト


  4. 建築物省エネ計算支援ソフト(BEI計算など)

    確認申請で必須となる出力に対応



たとえば、Webプログラムでは図面をもとに簡単にBEI(基準一次エネルギー消費量比)を算出できます。これらのツールを使いこなせるかどうかが、省エネ適合設計の成否を分ける重要な要素です。


省エネ設計に役立つシミュレーションと計算ツール






まとめ|省エネ設計はこれからの建築設備設計のスタンダード

建築設備設計における省エネ対策は、もはや「オプション」ではなく「必須条件」となりました。2025年の法改正によって、すべての新築建物での省エネ基準適合が求められる中、設備設計者にはより高度な知識と実践力が求められます。

ZEB・ZEHのような先進的な取り組みも、今後ますます一般化するでしょう。これから設備設計の仕事に関わる方、またすでに携わっている方にとっても、「最新の法規」「適切なツールの活用」「根拠ある省エネ提案力」は、業界での信頼と成果を高める大きな武器になります。


環境と向き合い、社会に貢献できる設計を目指して、まずは一歩ずつ、できるところから省エネ設計を意識していくことが大切ですね。



 

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