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建築設備設計でよくあるトラブルとその回避方法

  • 執筆者の写真: design H
    design H
  • 4月14日
  • 読了時間: 5分

更新日:3 日前


建築設備設計でよくあるトラブルとその回避方法
建築設備設計は、建物の「機能性」「安全性」「快適性」を支える非常に重要な業務ですが、設計ミスや情報共有不足などが原因でトラブルに発展することも少なくありません。たとえば、「施工現場で配管ルートが通らなかった」「施主の要望と図面が食い違っていた」など、後戻りの効かないミスが発生すると、コストや信頼の損失につながります。この記事では、設備設計で起きやすい代表的なトラブルと、その回避策について具体的に解説します。
 
 



設計ミスによる施工トラブルの例

施工段階で最も多いのが「設計ミスによる配管や配線の干渉」です。たとえば、天井裏に空調ダクトと電線管を通すスペースを十分に確保していなかったため、現場で再設計が必要になったという事例があります。また、給排水管の勾配不足で排水が逆流するトラブルも頻出です。


こうした問題は、設計段階での設備同士の干渉チェック不足や、建築・構造設計との連携不足によって発生します。近年では、BIM(3Dモデル)を使った「事前の干渉チェック」が有効で、設備設計者もBIM活用スキルが求められるようになっています。





顧客とのコミュニケーション不足が招く誤解

設備設計では、顧客(施主・設計事務所など)との意思疎通不足も大きなトラブルの原因です。たとえば、「エアコンをできるだけ見せないでほしい」という要望に対し、天井カセット型を採用し、後に吹出口が視界に入り美観を損なうと指摘され、クレームになったというケースがあります。

顧客が求めていたのは「完全に見えない空調方式」だったため、設計者との認識にズレが生じてしまいました。


要望のニュアンスや文脈によっては捉え方が人ぞれぞれ異なったりします。

このようなトラブルは、「言った・言っていない」「仕様書を読んでいなかった」など、記録や共有の仕方に原因があったりします。


対策としては、ヒアリング内容をドキュメント化して共有し、承認プロセスを設けることが重要です。また、図面だけでなく、パースや説明図を添えると顧客もイメージしやすくなります。

顧客とのコミュニケーション不足が招く誤解





法令・基準の見落としを防ぐ方法

設計者が意外と見落としやすいのが、最新の建築基準法や消防法、省エネ法の改正内容です。たとえば、「非常照明の設置間隔が規定に合っていなかった」「換気量の算定方法が旧基準のままだった」などのトラブルが、確認申請時や工事監査で発覚することがあります。


こうしたミスを防ぐためには、設計初期の段階で最新の法令チェックリストを使い、重要ポイントを設計メモに落とし込んでおくことが有効です。また、国土交通省や消防庁の公式サイトでは最新の改正情報がPDFやガイドブックで公開されており、月1回程度のチェックが推奨されます。






トラブルを防ぐためのチェックリストと事前対策

設計トラブルを未然に防ぐには、事前のチェックリスト運用とチームでの確認体制が不可欠です。以下に実務で活用できる具体的なポイントを解説します。


チェックリストに入れておきたい項目例

  • 配管・配線ルートの干渉チェック(BIMまたは断面図で確認)

  • 法令・基準の適合確認(換気量・非常用電源・避難誘導など)

  • 顧客の要望事項の反映チェック(色、配置、騒音対策など)

  • 照明やコンセントの数・位置確認(用途・レイアウトに応じて)

  • 設備機器の選定根拠(能力・サイズ・騒音値など)



レビュー体制を設計フローに組み込む

設計者が一人で進めてしまうと、主観的なミスに気づけません。他の設計者によるレビューを定例化し、設計段階ごとにWチェックを行う体制をつくることで、品質と精度を担保できます。レビューは口頭で済ませず、コメント付き図面やチェックシートに記録を残しましょう。



トラブル対応用のテンプレートを整備する

万一トラブルが発生した場合でも、「どう対応したか」を文書で記録しておけば、再発防止のナレッジとして次回に活かせます。社内で「トラブル記録テンプレート」や「顧客説明用報告書」のフォーマットを作成しておくことで、対応の標準化が進みます。

トラブルを防ぐためのチェックリストと事前対策





まとめ|トラブルは「設計中の見える化」で未然に防ぐ

建築設備設計におけるトラブルの多くは、設計段階での確認不足や情報共有の曖昧さから発生しています。逆に言えば、「見える化」「記録化」「共有化」ができていれば、未然に防げるケースがほとんどです。

BIMやチェックリスト、クラウドツール、ヒアリング記録などを駆使して、チーム全体での設計品質の底上げを目指しましょう。トラブルは設計者の成長機会でもあります。失敗から学び、再発させない仕組みを整えることが、より良い設計者への第一歩です。



 

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